無料歯科検診のお知らせ🦷~その2~
- 2021.02.14
当院では1月18日(いい歯!)から無料の歯科検診を実施しています。
今日は歯科検診をご利用いただいたご家族の中から、推定8~10歳のトイプードルのプーミンちゃんの事例をご紹介させていただきます。
プーミンちゃんは現在のご家族のもとに来てまだ日が浅く、お迎えした時にはすでに歯石が気になる状態だったとのこと。
ご家族は先代のワンちゃんで歯のトラブルを経験されていたため、新しく迎えたプーミンちゃんの健康のためにと歯科検診にお越しくださいました。
まずは通常の触診・聴診を行い、そのあと歯科検診に移ります。
【歯科検診】
①お口の状態をチェック
ここでは歯垢・歯石の付着、歯茎の状態、破折の有無、磨耗の有無等を確認します。
プーミンちゃんは全体的に歯垢や歯石が付着している箇所は多かったのですが、歯茎の赤みはそれほど目立ちませんでした。
②試薬を用いた口腔環境チェック
専用の検査キットを使用してお口の中の歯周病菌がどのくらいいるのかを調べます。
発色が強いほど歯周病菌の出す酵素が多い(≒歯周病菌が多い)ことを意味します。検査キットからは、歯周病が進行している可能性が認められました。
ご家族にプーミンちゃんの検診結果を説明し、ご相談の結果、全身麻酔での歯垢・歯石除去、ポリッシング(歯の表面の細かい傷などを磨いて整えること)の歯科治療を行うことになりました。
※無麻酔での歯科治療を行わない理由は先日のブログをご覧ください。
ただ、プーミンちゃんの場合は身体の状態が詳しくわからなかったため、ご家族の希望もあり、まずは麻酔に耐えられる状態であるかホルモン検査を含む血液検査、X線検査及びエコー検査などの健康診断から行うことにいたしました。
(通常は、歯科治療の当日に血液検査及びX線検査を行い内蔵機能、心臓、肺を評価し、麻酔をかけての治療が可能かを判断をします)
健康診断の結果、大きな問題はなかったため、後日歯科治療を行いました。
【歯科治療】
超音波スケーラーを用いて歯垢や歯石を落とし、歯周ポケット内もきれいに洗浄します。この歯周ポケット内の洗浄が歯周病を予防する上で、とても大切な処置になります。
また、歯がグラグラしていて歯根の露出がひどい場合は重度の歯周炎と判断し、抜歯を行うことがあります。
1度やせてしまった歯茎は元に戻りません。
炎症が進むと歯茎に穴が開いたり、骨が溶けて顔の表面の皮膚まで貫通したり、顎の骨が折れたりすることがあるため、抜歯は重症化させないために必要な措置となります。
プーミンちゃんも対象となる歯が1本ありましたので、抜歯を行いました。
汚れを落としたら、最後に研磨剤を付けて歯の表面を磨きます。ここで磨いて表面の傷(凹凸)をなくすことで新たな歯垢を付着しにくくします。
<治療前>
<治療後>
一部色素沈着がひどい箇所があり真っ白とはいきませんでしたが、とてもきれいになりました。歯茎の状態は良かったため、抜歯は最小限で済みました。
ワンちゃんは約3~5日で、ネコちゃんは約7日で歯垢が歯石に変わってしまいます。
歯石になってしまったものを落とすには、動物病院での歯科治療が必要です。なるべくそうならないために、ぜひ、おうちでの日々のデンタルケアに挑戦していただけたらと思います。
ワンちゃんネコちゃんは虫歯にはなりにくいのですが、歯周病になりやすいという特徴があります。その理由は、お口の中がアルカリ性だからです。アルカリ性の環境下は虫歯菌が発生しにくく、歯周病菌が繁殖しやすい環境です。(ヒトは反対に弱酸性であるため、酸性の環境下を好む虫歯菌が繁殖しやすい環境と言えます)
ハミガキは何歳からでもはじめられます。
ワンちゃんネコちゃん専用のデンタルガムやデンタルシート、おいしいハミガキ粉などさまざまな商品がありますので、まずはそういったものでハミガキは楽しい!ということを教えてあげてください。
最終的にはハブラシを使用しての毎日のハミガキが理想ですが、難しい場合は3日に1度など、歯垢が歯石に変わる前に取ってあげられるといいですね。
①無料歯科検診及び②歯科治療費30%引きのご案内は、2月27日までとなります。
日頃から診察にお越しいただいた際の一般的な触診でも、お口の中の状態は必ず確認させていただきますが、さらに詳しく検査して現在の状態を知っておきたい方、おうちでのハミガキのやり方を知りたいという方は、お気軽に歯科検診をご利用ください。
無事に麻酔から目覚めたプーミンちゃん、がんばってくれてありがとう!
たくさん美味しいものを食べて、おうちで楽しくハミガキしようね♪
院長 小出